インタビュー前に左久作さんが鋼づけという作業を見せてくださいました。我々には鉄クズ置場のようにしか見えない(失礼しました!)ですが
そこにはとても古い時代の和鉄が転がっています。
真っ赤に焼けた鉄は、目視だけで温度を判断。しかし、凝視すると目がやられてしまうので、焦点をずらして色を見て判断いるとのこと。
今ではなかなか目にすることのできない、貴重な鍛冶屋さんの作業風景。通りがかりの若いお母さんとお子さんが、しばらく左さんの職人技を見学していました。左さんもうれしそうにお子さんに話しかけていました。
「子どもの記憶はのちのちまで残りますから。目に残り、心に残りというのはありますから」
左さんの顧客は、日本国内、あるいは海外で活躍する方たちだけで、地域に職人がほとんどいなくなった今は、月島に顧客はいないそうです。
それでもなお、鉄を叩く軽やかで美しい音が月島のまちに響いていること自体、一種の奇跡かもしれません。
別の動画で、この年季の入ったスプリングハンマーという機械の説明もしてくださっています。ぜひご覧ください。
左久作さん
昭和30年月島生まれ。月島第一小学校卒業。日本で唯一の江戸鍛冶。祖父・父を継いで三代目左久作となるが、江戸鍛冶としての血筋をたどると江戸時代初期にまで遡る。
大工・木工職人等からのオーダーメイドで274種類の刃物を作る。包丁・刀など人を殺傷する刃物は一切作らない(包丁研ぎは承ります)。
(外部リンク)
江戸刃物鍛冶の系統―「左久弘」系について